羽根屋(富山/富美菊酒造)

四季醸造へのチャレンジ!

富山駅から車で10分ほどの所に富美菊酒造はあります。
レギュラー銘柄として「富美菊」、限定銘柄として「羽根屋」を醸す。
「富の香」「煌火」と立て続けにスマッシュヒットを放ち、23BYあたりから爆発的な人気・・・あっという間に人気蔵の仲間入りを果たしました。 そして、現在はお酒が慢性的に不足してしまっている状態です。
あまりに酒が無いため、24BYより四季醸造へ踏み切る等、非常に思い切った動きを見せています。
四季醸造へのチャレンジは、350石程の小規模蔵では異例とも言える決断だと思います。
大手の四季醸造では、通常、ある程度のオートメーション化や、数名の主軸メンバーを立てて省力化を前提として酒造りを行うのが一般的です。が、羽根屋は違います。 「手間を惜しまず、コダワリを積み重ねる事で美味い酒が出来る・・・そんな富美菊の想いが込められた一滴一滴がこの羽根屋には詰まっています。」 という通り、羽根屋はあくまで羽根敬喜氏が魂を込めて造る酒なのです。
冬期だけでも大変なのに、四季を通じてさけそれを続けるのは並外れた体力と集中力を要するはずです。
実際、冬季の酒造りを見学させて頂いた際も羽根氏は作業にのめり込んでおり、口数も少なく(というかゼロに等しい!)、表情を変える事無く作業部分は作業に徹する、時折、酒米の蒸し具合やモロミの泡を見てニコリとしていたのは印象的でした。
「意識的にテンションを下げている」と氏はおっしゃいました。下手に気持ちを上げ下げすると、体力的にも精神的にも持たない…それほど、酒造りは過酷なのです。羽根氏の頬は、東京でのそれとは違いこけており、「人間の生活じゃないですから・・・」とポツリとこぼした一言は本当に印象的でした。
そんな中、酒を切らすわけにはいかないという責任感から、四期へ踏み切ったのは驚き、また、心身的に心配にもなりましたが、結果は非常に良好の様で、私もひと安心しました。が・・・羽根屋の挑戦はまだ始まったばかりです。今後も羽根屋の動向に要注目!!

羽根屋のこだわり(旧

羽根屋のコダワリの一部をご紹介いたします。
①限定吸水(ギリギリまでストップウォッチで計って吸水させる、神経を使う作業。)
②酒槽しぼり(昔ながらの重石を乗せて搾る搾り方は、余計な雑味を出しません。)
③中汲み(お酒を搾る際の真ん中部分のみを贅沢使用。一番まろみがあり、柔らかな味わいの部分。)

羽根屋のラインナップは日本酒度で+8ほどある「辛口」が多い。一般的なお酒の場合+2~+4程度の酒が多いので、+8というのは、蔵によっては「超辛口」と言われる部類に入る甘辛度です。しかし、羽根屋は口当たりが柔らかく、しっかりとした旨みを併せ持っている為、それほど辛くは感じさせません。柔らかく、よくキレる。
原料米には「五百万石」を主軸とした酒が多いのですが、この米を使った辛口の酒というのは下手をすると味が抜けた感じになってしまいます。実際、 そういう酒は数多あります。
しかし、羽根屋のそれは、味が抜けるどころか、グッと旨みが乗りながら、しかも五百万石らしい爽やかさを併せ持っているのです!! 丁寧な酒造りだから出せる味・・・というものを実感させられる酒です。
「羽根屋」は基本的にはどれも「北陸酒らしさ」を持った万能なタイプなのですが、辛口好きな方には「純米原酒」、フルーティー好きな方には「煌火」、柔らかさ重視なら「純米」、少し酸がほしいときは「純米吟醸」、迫力のある味わい「特吟」がオススメです。
イロイロ試して頂けるとより一層楽しめると思いますよ!

※記事は2012年頃のもの

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