誉池月(島根/池月酒造)

秘境に隠れた実力蔵

明治36年創業、「誉池月」を醸す池月酒造。 生産石高350石。
広島寄りの島根県邑智郡邑南町に蔵はある。 三江線というノスタルジックな路線、宇都井駅という116段もの階段がある無人駅から更に車で15分ほど・・・というアクセスは非常に悪いが、酒造りには非常に適した土地です。
仕込水は中国山地の伏流水。軽やかな甘味を感じさせる軟水。
原料米のほとんどは島根県産のもので、「佐香錦」「山田錦」「八反錦」「五百万石」などを使用。
山田錦が兵庫県産ではなく島根県産なのにはワケがあります。昔は良い山田錦が手に入らなかったり、品質の悪い山田錦を高値で買わされる蔵が多かった為に、県の農家さんが頑張って栽培し始めた事が由来という。とはいえ、島根県産山田錦は兵庫県産と比べると粒は小粒で、五百万石的なシャープな味わいに仕上がる傾向がありますので、兵庫県産とは別物と捉えた方が良さそうです。
使用酵母は「6号」「7号」「9号」「1801号」や「赤色」等々、非常にバラエティー豊かなラインナップの酒をリリースする。
余談だが、池月酒造は赤色酵母の酒造りに成功した最初の蔵元でもある。秘密のテクニックがひとつだけあるのだとか・・・。
前杜氏 三島文雄氏から蔵元杜氏として酒造りを受け継ぐのは末田誠一氏。子供の頃から蔵で遊び、麹造りを手伝ったりもしてたという、ある意味酒造りのサラブレッドなのです。
若手ながら酒造りも24BYで9造り目位、経験豊かです。 平成になってから新しくした機械は無いという程のトラディショナル・スタイル酒造りは、和釜、木槽搾りはもちろんの事、瓶燗もお風呂方式であったり、もちろん麹室センサーなど無く、室に泊り込んでを見守ったり・・・、最盛期は連日2時間程しか眠る時間が無いという、聞いているだけでもグッタリしてしまう体力勝負のストロングスタイル。 出雲流の特徴のひとつは、麹をしっかりと破精させる事で、麹米は麹菌につつまれ、噛むとふわふわとした食感。これを使用し、丁寧な吟造りを行う事にり、味わいがありながらもベタらないバランス酒となる。
これらの酒造りスタイルを見ると、なんとなく昔の酒の味を想像されるかもしれませんが違います。
出雲流の麹操作は現代的な生原酒タイプの酒造りに大きな可能性と強みを感じさせます。
スッキリとしすぎて物足りない印象となる恐れのある硬質米であっても、米の甘旨味をしっかりと引き出し、小仕込で丁寧に醸す事により繊細なまろやかさを持つ仕上がりを実現しているのです。
未だ無名ながら今後の人気上昇を予感させる蔵元です!!まずは生原酒タイプをお試しいただけと、誉池月の良さをストレートに感じていただけると思います。

※記事は2013年頃のもの

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